土日も営業中

救急外来で多かった病気

シルバーウィークが終わり、すっかり秋めいてきました。
涼しくなってきて、お散歩も気持ちの良い季節になりましたね。

まだまだ、ノミの寄生も見られますので、フィラリアも含め、しっかり予防を続けてください。

また、季節柄、蜂などによる刺傷(アナフィラキシー)の来院もありましたので、注意していきましょう。

今回は、先日の4連休中の救急外来で多かった病気についてお伝えします。

1、心疾患が原因の肺水腫
2、誤食による催吐処置
3、尿道閉塞


1、心疾患が原因の肺水腫

ワンちゃんに多く見られるのは「僧帽弁閉鎖不全症」という心疾患です。
僧帽弁は、左の左心房と左心室を隔てる弁で、通常血流は左心房から左心室への一方通行となっていますが、僧帽弁閉鎖不全症では弁がうまく閉じないことで、血液が逆流してしまいます。

初期には、心臓が頑張って血液を送りますので、聴診上、心雑音が聞こえてはいるものの、症状が出ないことがあります。

病態が進行すると、左心房が肥大し気管を刺激することで、咳が出ます。
さらに大きくなると、肺にも血液の液体成分が滲み出してしまい、肺水腫が起こります。
肺水腫は溺れているのと同じような状態になりますので、息苦しく、呼吸促迫の状態で受診されることが多いです。

治療は、利尿剤や気管支拡張剤、強心剤の注射や点滴を行い、ICUで管理し、呼吸状態を安定させ、内服薬へと切り替えていきますが、肺水腫が重度である場合や進行が早い場合は、治療が間に合わないこともあります。

心臓病と診断されたら、安静時の呼吸回数チェックを習慣にしてください。

1分間の呼吸回数(安静時)
  • 30回未満・・・正常、または無症状
  • 30〜40回・・・境界
  • 40回以上・・・重度の肺水腫などの疑い

症状として咳の悪化があればご家族にも分かりやすいですが、咳が出ず、呼吸促迫だけの場合は受診を悩まれる方も多いと思います。
安静時の呼吸回数を目安に受診されることをおすすめします。


2、誤食による催吐処置

おもちゃやチョコレート、季節柄、ぶどうなどの誤食・盗食での受診がありました。
ご家族が気を使っていても、上手に盗み喰いをしたり、テーブルから食べ物が落ちた瞬間にあっという間に飲み込んでしまったなど様々です。

催吐処置には、通常、止血剤として使用される注射薬を用います。
誤食したものによっては、催吐処置ができないこともありますので、誤食に気づいたら、すぐに動物病院に相談しましょう。

また、これから柿やリンゴなどの季節になりますが、硬い果物を丸呑みし、食道に詰まってしまうことがあります。
この場合は、ぐったりしたり、よだれや嘔吐が止まらないなど、非常に状態が悪くなることも多いです。

さらに、食道内の異物により、その下部を走る気管も圧迫されることで呼吸状態が悪化し、最悪の場合、亡くなるケースもありますので、十分注意してください。


3、尿道閉塞

若い男の子の猫ちゃんに発症が多いのが「尿道閉塞」です。

頻繁にトイレに行ったり、トイレ以外におしっこをしたり、おしっこの姿勢が長かったりなどの症状が見られます。
男の子は尿道が細くて長いので、砂状の膀胱結石や血餅などが詰まりやすい状態にあります。

完全に尿道が塞がってしまうと、急性腎不全に陥り、嘔吐、意識レベルの低下、呼吸促迫などが認められるようになります。
尿道の閉塞を解除し、膀胱洗浄や点滴などを行います。
腎不全を併発している場合は、7日〜10日程度の入院が必要となります。


上記の疾患以外にも、うさぎさんの鬱滞(うったい)や皮膚や外耳炎などの受診も多かったです。

朝晩、肌寒く感じる日も出てきました。
ペットたちもご家族のみなさまも、元気で楽しい秋をお過ごしくださいね。

秋